DUF

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「……ほんとに今日は何がやりたいんだ……」  頭に籠(こも)った熱も下がってくると、冷静に物事が見えてくる。こんな猛暑の中、自分は何をやってるのだろうか? そもそも今回は、まるで意図が掴めない……。  実は、こういったことは初めてじゃない為、慣れていると言えば、慣れてしまっている。 教授の無茶ぶりに付き合った回数は、自分の誕生日を迎えた回数を確実に越えるだろう。  前回の冒険(こと)は、今でも思い出すことができる。 あの時は、「自然を感じに行こう」とか誘われて、山へ散策しに出かけたのが始まり。 目的の山へとずかずか入って行ったまでは良いものの、登山道ではない山道を歩くなどして正規ルートを辿らず、挙句の果てには道に迷う事態になったのだった。 結果的には救助され、生きて帰ることができたのだが……。  でも、その話には続きがある。なんと、幸運なことに、自分たちが避難していた洞窟が、鎌倉時代に使われていた未発見の祠だったりなんだったりで、歴史的な大発見をしたらしい。 苦行の報酬としては、悪くない見返りではあった。
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