16人が本棚に入れています
本棚に追加
「助けてくれてありがとう」
少女は僕たちに向かい礼を言う。メイスさんや僕と同じくらいの歳だろうか。茶髪に青い瞳をした少女だ。その手に持つカバンには薬草と思われる草がたくさん入っていた。
「うちのお母さんが病気で……ここにしか生えない薬草をとりにきていたの」
なるほど、と返すカイさんに、「なんで護衛をつけねえ」と返す黒騎士さん。確かにそうだ。護衛をつければこんなふうに魔物に襲われることもないと思うのに。
「護衛はお金がかかりますし……この辺りは聖女様のおかげで魔物が少ないんです。今までこんなことありませんでした」
自然と視線がメイスさんに向く。メイスさんはやり切れなさそうな表情でそこに立っていた。
「皆さんは旅人さんなんですか?」
「まあ、そんなところですね」
「では今日は私の家に泊まっていってください。助けてくれたお礼がしたいので」
少女はそう言って笑う。僕たちは顔を見合わせてこれからどうするか考えることにする。
最初のコメントを投稿しよう!