16人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここが私と母さんの家です!」
そこは二人で住むにはいささか大きな家だった。玄関は綺麗に掃除され、埃一つ見当たらない。棚の上には置物が置いてあった。
僕の視線に気づいたのか、少女は「その置物はこの家の守り神なんですよ。邪を祓ってくれると言われているんです」と説明してくれる。
「母さん、ただいま」
「おかえり、リン」
リンと呼ばれた少女はニコニコ笑いながら奥から出てきた女性に抱きつく。女性は僕たちの顔を見て少し怪訝そうな顔をした。慌ててと言った様子でメイスさんが「私たちは怪しいものではなくて……」と身振り手振りで弁明する。
リンと呼ばれた少女は「彼らは旅人さんで、私を魔物から守ってくれたの」と母親である女性に説明をしてくれた。
「そうですか……リンがご迷惑をおかけいたしました。私はレイ・グレイス。リンと二人で暮らしています」
「メイス・ドラグーンです」
「リアス・メモリーと言います」
「カイとお呼びください」
「……」
一向に名乗らない黒騎士さんに違和感を感じたのか、レイさんは「あの、そちらの方は……」と黒騎士さんに尋ねる。メイスさんは機転を効かせた様に「ラリア! 彼はラリアって言います!」と黒騎士さんに呼びかけた。
黒騎士さんは仮面越しでもわかるように驚いた様な表情をしていたが、観念したのか「……ラリアだ」と名乗った。
最初のコメントを投稿しよう!