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■舞台はいつのどこか
舞台設定もとても大事です。
ただし、同時にとてもむずかしいところでもあります。
非日常的な舞台の方が物語をつくりやすいのですが、他方で非日常的な舞台の場合、文章でその舞台設定を説明し、読者に理解してもらい、イメージしてもらわなければなりません。
文章による説明で、見たこともない世界をきちんとイメージしてもらうのが非常に難しいのは、言うまでもありません。
舞台設定の説明など、まだその世界観を理解していない読者にとってはもっとも退屈なもののひとつですから、簡潔に説明しないとそもそも最後まで読んですらもらえません。
それを解決するひとつの策として、あまり説明しなくても誰もがイメージできる異世界というのを舞台にしてしまうという手があります。
いわゆるドラクエ的な世界観、ファンタジー的な世界観というやつが多いかと思います。
これでしたら、ほとんど説明なしに読者に明確にイメージを持ってもらいやすいです。
ただし、これはとてもお手軽な方法なので、既に同様の舞台設定で膨大な作品が存在します。
その舞台設定を持ちだした時点で、「ああ、またか」と思われるリスクが非常に大きいです。
これとは違う世界観で、あまり先行作品のない読者がイメージできる世界観というのを見つけることができれば、それを使えば効果的に異世界を導入できるかもしれません。
たとえばオンラインゲームの世界というのは、ひとつ斬新な解答でしたね。今となっては同種の作品があふれてしまっていますが……。しかしそもそも、そうやってイメージしてもらったところで、やはり読者から遠い世界であることは事実です。
たとえば普段自分が使っている駅で起こった事件と、インドのムンバイあたりの駅で起こった事件のどちらをよりリアルに感じ、物語に入り込めるかというと、間違いなく前者なわけです。
非日常度が高いほうが物語は作りやすいですが、日常度が高いほうが読者は入り込みやすいです。
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