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「え……何それ」
その話を聞いた時、私はつい聞き返してしまった。
そんな簡単な事で中君に恨みを持つなんて……お門違いにも程がある。
「目を付けられるって、それだけの事で?」
「少しでも目立つヤツを叩くのがあいつらのする事よ」
出る杭は打たれる、って言葉はあるけど。
でも中君は目立とうと思って目立ってる訳じゃないのに……。
ああ言う人達はいつもそうだ。
少しでも周囲と異なる人間を、すぐに攻撃したがる。
それで小さな自尊心が満足するのかどうか知らないけど、攻められる方からすれば良い迷惑だ。
あの時だってそうだった。
私も中君も下ちゃんも、心を深く傷付けられた。
そして今だって……。
「私も中に何か無いか心配なのよ。だからこの頃の様子を聞いたんだけど……」
「私が見る限りは何も変わり無い、と思うよ?」
「なら良いけど……」
胸を撫で下ろした様子の向ちゃん。
中君の事をよっぽど親身になって考えてくれてたみたいだ。
向ちゃんは何時だって私達の事を考えてくれる。
本当にありがたい事だよね。
「向ちゃん……いつもありがとう」
日頃の感謝のキモチが、つい口を突いて出る。
私は何の気無しだったのだけど、向ちゃんにとってはそうじゃなかったみたい。
さっきより顔を真っ赤にすると、大声でまくし立てた。
「バッ、バッカじゃないの!?私はアンタ達に感謝されたいと思って心配してるワケじゃないんだからねッ!!」
「はいはい」
「『はいはい』じゃないわよ!!」
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