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 私は所謂、欠陥物であると自覚している。  記憶など当然ある訳など無いのだが、母の腟から這い出た私は、自分の命が危うくある程のフライングをやってのけたらしい。  医者は、持って五日だ、と父母に告げ、慌てた祖父は私の名を父母に相談すること無く勝手に命名し、何を血迷ったか父は、素性の怪しい占師の言うことを真に受け、一週間の間、朝晩と墓の手入れをしたと云う。
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