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夜になると毎日毎日、私はひたすらに点を繋いだ。小さな宝石のような粒に橋を渡して一つの形をつくるのだ。例えば白鳥。例えば天秤。例えば山羊。
すぐに完成形の見えるものもあれば歪すぎてなんなのかよくわからないものもある。しかしどんな形でも星々の描く軌跡は美しく魅力的であった。その全てを私は愛していた。その輝きに身を浸せるだけで私は十分だった。いつしか私は人から変人と呼ばれた。
そう、星には不思議な力があったのだ。見る者からゆっくりと光を奪う力。徐々に私の視界は暗くなり、最後にはなにも見えなくなった。それでも夜になると星の輝きだけはぼんやりと感じた。その淡い光を頼りにして私は点と点を繋いだ。出来た形はどれも歪なものばかりだった。私はそれらを飽きることなく眺めた。歪でも関係なかった。星々の光が弱くとも変わらずそれらは愛おしかった。
そして私は星の輝きに呑まれた。
私はとうとう光を失った。
それからは記憶の中で――毎日毎日私はひたすらに点を繋いだ。
小さな宝石のような粒に橋を渡して一つの形をつくるのだ。例えば白鳥。例えば天秤。例えば山羊。
それだけで私は幸せだった。
今は記憶さえも曖昧になった。
私は――。
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