表と裏

11/14

191人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「じゃあ今までのは全て千晃ちゃんの演技だったってこと?」 「うん」 力なく頷くと 「ははっ、何言ってんだお前」 と笑いとばされた 「ホントなんだって!」 「そんなの信じられるわけないよ」 みんな騙されてるんだって……!! 「ほら、噂の彼女だよ」 そう言われ、日高が指さす方へ視線を向けると 明るい茶髪が目に入った 「ポニーテールも似合うな」 「うん……」 「ほら、呼んでみたら?」 「いやいや、いいって!!」 そんなことしたら なに言われるか分からない 「じゃあ俺が呼ぶよ」 「ちょ…」 「おーい、千晃ちゃーん!!」 「バカ日高っ」 バカな日高が彼女の名前を叫ぶと 彼女は振り返った そして、俺達に気付くと 少し頬を赤くして 恥ずかしそうに小さく手を振り返した 「ひゃー、可愛いっ」 ぶんぶん手を振っていた日高は大満足 「あんなのが演技だとは思えないな」 そして、信じてくれなかった あの人は絶対顔赤めたりしないって!! 本性は冷血毒舌女なんだよっ なんて言っても またバカにされるだけだから 俺はため息一つついて 机に伏せた
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

191人が本棚に入れています
本棚に追加