表と裏

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「…で、どうしたの?」 「……なんでもない」 悪口言われてた、なんて 言えるわけないだろ 「あっそ」 特に興味なさそうな彼女は 「鞄取ってくる」 教室に行こうとした 「―あっ、ダメ!」 とっさに彼女を引き止める 「なによ」 「あ、いや…」 教室にはまだアイツらがいるかもしれない 「……教室でなにかあったわね」 ははーん、と彼女は俺を見つめる 「誰かが私のことなんか言ってた?」 「えっ、いや、えっと…」 「しかも悪口ってわけね」 ズバズバ言い当てるもんだから 俺の焦りは半端ない 「わかりやす」 ぷっ、と笑う彼女 こんなの誘導尋問みたいなものでしょうが 「大丈夫よ、行ってくる」 そう言って彼女は教室に向かっていってしまった
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