表と裏

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「なるほど、あの2人ね」 下駄箱によっかかりながら彼女を待っていると 鞄を持って、冷めた表情で笑いながら来た まだいたんだ、あの2人 「…なんか言われた?」 「まさか(笑) 本人の前で言うわけないでしょ」 「それもそうだね」 自然と肩を並べて歩く俺らは はたから見れば普通のカップル でも実際は 色々とワケありなのです 「なんて言われたの?」 「言っていいの?」 「別に傷つかないからいいよ」 軽くそんなことを言う彼女は 学校のアイドルだなんて到底思えない 「ホントは黒いとか、顔だけとか…」 「事実だね」 …俺もそう思ったよ 「あと、別れたらいつでもおいでって」 「ふふ、仕返しってことね」 「仕返し?」 「昔、アイツの彼氏が私に告白してきてね… まだ根にもってたか(笑)」 「すごいな……」 「アイツらは私がいないと男と絡めないから仲良い友達のフリしてるだけよ」 …図星、だ 「そっちの方が余計な感情わかないから私も楽だけどね」 遠くを見つめながら 俺の少し先を歩く彼女 彼女に友達はいるのだろうか 彼女が心を許す相手はいるのか もし、いないのなら 俺がなりたい 彼女が心を許す相手になりたい 「あんたよくマヌケ面するね」 どうやら俺は 性格と口が悪い彼女のことを 本気で好きになってしまったようだ
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