日常

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「ねぇ、なんて呼べばいい?」 学校からの帰り道 いまだに彼女のことをなんて呼べばいいか定まっていない俺は思い切って聞いてみた 「好きにしたら」 「……千晃、とか?」 「別にいいんじゃない」 「名前で呼んでいいの?」 「そこは決まりじゃないからいいよ」 「じゃあ、千晃で…」 あっさりと名前呼びが決まった …カレカノっぽい いや、カレカノなんだけどね 「千晃は友達いるの?」 なんとも失礼な質問だが 彼女はきっと気にしないだろう 「質問禁止」 「あ……」 そうだった 「なんで聞いちゃダメなの」 「質問禁止」 これもダメなのかよ…… 「…いいわ、答えてあげる」 少しいじけた俺を横目で見て 口を開いた 「どうせ別れるからよ」 「はい?」 「いつかは別れるんだから、私の諸事情教えたくないの。プライバシーだからね」 「なにそれ」 「だってそうでしょ?死ぬまであんたと一緒なわけじゃない」 「そうかもしれないけど…」 「納得いかない?別に納得しなくていいわよ」 ………はぁ、 どこまで否定的なんだか でも、無性に抱き締めたくなった そんなこと言うなら そんな寂しい目しないでよ なんでそんな目するの? 彼女のことを 知りたい――…
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