世界のあらすじはこんな感じ。

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****** 拒否権はないわ。 ―――明日の朝にリウレンへの定期船が出ます。それに乗って、リウレンから更にクワテッドを目指しなさい。必要な道具は送ってあるから。 「…いやいや、ないわー。いきなり『学校行け』とか俺不登校してるみたいじゃんwww」 幼い頃から家庭教師が付けられてましたから、学校とか行ったことなくて正直ガクブルなんですけどwww 「よし。逃げようwww」 学校なんてつまんない(かどうかは知らない)ところに行かされるより、俺にはやりたいことがあるんだ! それは……そう、行方知れずの父親探し! 父上。名をハジメ=ユキノ。世界的には魔王を討伐した勇敢なる勇者。 俺には母上の尻に敷かれてたイメージしかないんですけどね。 その彼が、行方不明になっているのですよ。人間の国で起こったトラブルを解決しに行ったきり帰ってこない。それが俺の8歳の時で、今から10年前。 妻である母上は父上を信じて待ってるけど、他の魔族の意見は「浮気」か「失踪」か「死亡」のどれかっていう話。 当時のことはあまりよく覚えていないし、母上に訊こうものなら号泣されるから訊かないけど、相当な混乱ぶりだったみたいだ。 あと、母上の側近でもあるアゼルさんが何かに付けて「あなたの父親の愚民は…」と絡んでくるのはそのせいだ。 きょうだいの中で俺が一番父上に似てるから。 迷惑な話だ。 (ま、そんなんでも父親だし。) 逃げるために必要そうなものを準備しながらため息を吐く。 そう、父親なんだ。否定しようがない、俺の血の繋がった父親。 …探し出せれば、きっと、母上も喜ぶよね。俺には更に双子の弟妹がいるんだけど、そいつらは父上の顔を見たことがないし。 「―――さて、行くか!」 必要そうなものは準備出来た。あとは抜け出すだけだ。今は夜だし、今の内に逃げるのが確実だろう。朝の便って言ってたし。 よし、最初はどこに行こう。父上の逸話は世界中にあるらしいし、それを一つ一つ巡るのもいいかもしれない。 ま、出たこと勝負で。 最後に慣れ親しんだ自室を振り返って……名残惜しいのを振り切って廊下へと繋がる扉を開けた。
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