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動揺した私は、身体ごと京さんから車の窓の方へと向けた。
あぶない、あぶない・・・
見透かされる!
「優は可愛いな」
「へっ!?」
後ろから聞こえた言葉に驚き、勢い良く振り返った。
おそらく私の顔は真っ赤。
そんな私を京さんは優しい瞳で見つめていた。
「っ、なっ!」
「行くか」
一人テンパる私を放置し、京さんは再び車を動かし始めた。
運転席側の窓の外の景色が流れる。
片手でハンドルを操る京さん。
力強い瞳で先を見つめている。
私はその姿から目が離せない。
この人が私の彼・・・。
私に出来た初めての彼は、闇を纏いながらも輝く、とても力強い人・・・だと思う。
今の私は京さんの事をよく知らない。
これから私は色々な京さんを知っていく事になる。
そして私を取り巻く環境がガラリと変わっていく事を、この時の私はまだ知らなかった。
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