4443人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆◆◆◆
「優、起きろ」
遠い意識の中、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
知らないうちに寝てしまっていたようだ。
「う・・・ん・・・」
閉じてしまっていた瞼をゆっくり開いていく。
「・・・ん」
辺りが暗くなっているせいか、ナビのモニターの明かりが少し眩しく感じる。
「着いたぞ」
「・・・え?」
窓の外を見れば、見慣れたマンションの玄関。
「・・・家だ」
途中で寝てしまったため、マンションの場所の説明はしていない。
本当に知ってたんだ・・・。
寝ぼけながらも京さんの言う情報というやらに少し驚く。
「わりぃな。もう少し寝かしてやりてぇんだが・・・」
「ん?」
視線を窓から声の聞こえる方に向ける。
そこには闇に溶け込み始めた京さんがいた。
「拓真さん帰ってるみてぇだ」
「んー?拓真ー?」
マンションの駐車場を覗けば、目立つ白いベンツ。
「・・・本当だ」
「さっきから携帯も鳴ってる。きっと拓真さんからだろ」
「え!?」
全然気づかなかった・・・。
自分でも驚くほど熟睡してしまっていたようだ。
「あ・・・」
バックから携帯を取り出そうとしていると、着信音が鳴り出した。
光る携帯を取り出し画面を確認する。
そこには拓真の名前と番号が表示されていた。
「出ていいぞ」
「うん・・・」
携帯の画面の通話をタッチし、ゆっくりと耳元へ運んだ。
最初のコメントを投稿しよう!