4442人が本棚に入れています
本棚に追加
京さんが外に出て20分ぐらい経っただろうか。
その間、拓真の「あ?」とか「は?」とか言う声は聞こえてきたが、二人が何を話しているのかは分からなかった。
『ガチャ』
急に開かれたドアにビクッとする。
「降りろ」
ドアの開いた方を見れば拓真が立っていた。
バックを抱えゆっくりと足を車から出す。
外はすっかり暗くなっており、ポツリポツリと星が光っていた。
「京、頼んだぞ」
「はい」
車から降りドアを締める瞬間二人の会話が少し聞こえてきた。
頼む?何を?
「行くぞ」
「あ・・・」
首を傾げる私の背中を拓真に押され、マンションの入口に向けて足を踏み出した。
「優、また連絡する」
後ろから京さんの声が聞こえ足を止めて振り返った。
「京さん、ありがとう」
「あぁ」
「行くぞ。腹減った」
拓真に腕を引かれ再び京さんに背を向ける。
背中越しに京さんの視線を感じた。
.
最初のコメントを投稿しよう!