エピソード1

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拓真の出張は今までも沢山あったが、ずっとあのマンションの部屋で一人で過ごしてきた。 それなのに、 今回は京さんの所に行ってろって・・・。 それって、京さんの所で生活をしろって事!? 「おまたせー」 「おっ!うまそーじゃん!」 蒼さんが奥の部屋から私たちのいるカウンターに戻ってきた。 どうやら数品出来上がったようだ。 それにしても早い! 蒼さんの作った料理はどれも美味しそうだが、私の頭の中は拓真の言葉でいっぱいだった。 「な、なんで?」 私はお箸を手に取る拓真に尋ねた。 「やっぱり蒼のメシはうめぇなー!」 ちょっと!食べてる場合じゃないよ!! 「あ?なんでって、お前誰と付き合ってんだ?」 京さんだけど・・・なんで? 「やっぱり優ちゃん彼氏いるの?残念」 蒼さん、残念って何が!? 蒼さんに目をやれば、優しく微笑みながら私を見ていた。 「優ちゃん可愛いし、いい子だから狙ってたんだけどなぁ」 「蒼、やめておけ。京に殺されっぞ?」 「えぇ?どこの京?」 「どこのもなにも、京ってヤツ、俺は一人しか知らねぇ」 「・・・俺も一人しか」 蒼さんの表情から笑顔が消えた。
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