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拓真の出張は今までも沢山あったが、ずっとあのマンションの部屋で一人で過ごしてきた。
それなのに、 今回は京さんの所に行ってろって・・・。
それって、京さんの所で生活をしろって事!?
「おまたせー」
「おっ!うまそーじゃん!」
蒼さんが奥の部屋から私たちのいるカウンターに戻ってきた。
どうやら数品出来上がったようだ。
それにしても早い!
蒼さんの作った料理はどれも美味しそうだが、私の頭の中は拓真の言葉でいっぱいだった。
「な、なんで?」
私はお箸を手に取る拓真に尋ねた。
「やっぱり蒼のメシはうめぇなー!」
ちょっと!食べてる場合じゃないよ!!
「あ?なんでって、お前誰と付き合ってんだ?」
京さんだけど・・・なんで?
「やっぱり優ちゃん彼氏いるの?残念」
蒼さん、残念って何が!?
蒼さんに目をやれば、優しく微笑みながら私を見ていた。
「優ちゃん可愛いし、いい子だから狙ってたんだけどなぁ」
「蒼、やめておけ。京に殺されっぞ?」
「えぇ?どこの京?」
「どこのもなにも、京ってヤツ、俺は一人しか知らねぇ」
「・・・俺も一人しか」
蒼さんの表情から笑顔が消えた。
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