4429人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
「じゃあ、これあげる」
蒼さんは私に、カードらしきものを差し出してきた。
「この店の鍵だよ」
「えっ?」
首を傾げる私に、蒼さんは言葉を足した。
どうやらカードの正体は、拓真も持っていたカードキーらしい。
たしか知り合いしか入れないって・・・。
「よかったらまた来てよ」
「で、でも」
「優、貰っとけ」
鍵を受け取るのを戸惑っていると、後ろから拓真の声が聞こえ、そちらに振り返った。
「蒼がいいって言ってんだ。貰っとけ」
「う、うん」
私は再び蒼さんの方へ向き、差し出されるカードキーをそっと受け取った。
私なんかが貰っちゃっていいのかな?
「ついでに連絡先も聞いとけ」
「え?なんで?」
「一応この店も他の客入るからな。行く時先に連絡しとけば、蒼がなんとかしといてくれるだろ」
「なんとかって?」
「今みてぇに、人入れねぇようにしてくれるだろ」
「でもそれ、蒼さん迷惑なんじゃ・・・」
「優ちゃん、気にしなくて大丈夫だよ。この店は俺の趣味でやってるだけだからさ」
「 趣味でやってるだけ?」
「蒼の仕事は、ここのマスターだけじゃねぇからな」
私の問いに、拓真が答えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!