エピソード1

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「他にも仕事してるんですか?」 私は蒼さんに尋ねた。 「うん。メインはクラブの経営してるんだ」 「クラブ?」 「そう、踊るクラブとホストクラブ」 「ホ、ホストクラブ!?」 流石に行った事はないけど、存在自体は知ってる。 「そ、蒼さんホストなんですか!?」 「ん?今は違うよ」 “今は”って事は、昔はホストだったんだ! お店の明かりが薄暗いため、はっきりとした蒼さんは見れないが、見た限り綺麗な整った顔をしている。 それに加えて、優しい微笑みと、蒼さんから醸し出される妖艶な香り。 ホストと聞いて、素直に納得してしまう。 「今はオーナーとして働いてるよ。たまに店に出るけどね」 「蒼は今でも人気があるからな」 ・・・やっぱり。 「あいつら、こいつの腹黒さを知らねぇんだ」 拓真は、蒼さんを顎で指しながら言った。 「腹黒い? 蒼さんが?」 「あぁ」 「拓真、余計な事優ちゃんに言うなよ」 拓真に腹黒いと言われた蒼さんは、苦笑いをしている。 「だって、本当のことだろ?」と拓真は笑っていた。 否定しないんだ。 「まっ、こんな仕事だからね。腹黒くもなるよ!」 蒼さんは否定する事無く、自分で自覚しているようだった。
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