エピソード1

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「疑ってんのか」 「・・・ううん」 よく考えれば、拓真が飲酒運転なんかするはずがない。 拓真も私も、あの事故のある意味被害者だから。 「んじゃ、帰るか」 「うん」 車がゆっくりと動き出す。 次第に流れ始める景色。 窓の外に視線を向ければ、青い空に黄色く月が輝いていた。 明日から私を取り巻く環境が変わっていく。 あの空に輝く月のように。 私はまだ知らぬ自分の未来に期待と不安感を感じなから、柔らかい車のシートへと身体を預け、ゆっくりと瞳を閉じた。 あの日、あの場所に行かなければ、一生アナタに会うことはなかったかもしれない。 アナタに会わなければ、こんなに胸が高鳴ることもなかったかもしれない。 アナタに会わなければ、私を支えてくれる人たちの存在や有り難さに気づかなかった。 アナタに会わなければ・・・。 私の頭を占めるのは、アナタ・・・ そう、京さんだけ。 こんなに人を愛おしいと思える日がくるとは・・・。
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