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「疑ってんのか」
「・・・ううん」
よく考えれば、拓真が飲酒運転なんかするはずがない。
拓真も私も、あの事故のある意味被害者だから。
「んじゃ、帰るか」
「うん」
車がゆっくりと動き出す。
次第に流れ始める景色。
窓の外に視線を向ければ、青い空に黄色く月が輝いていた。
明日から私を取り巻く環境が変わっていく。
あの空に輝く月のように。
私はまだ知らぬ自分の未来に期待と不安感を感じなから、柔らかい車のシートへと身体を預け、ゆっくりと瞳を閉じた。
あの日、あの場所に行かなければ、一生アナタに会うことはなかったかもしれない。
アナタに会わなければ、こんなに胸が高鳴ることもなかったかもしれない。
アナタに会わなければ、私を支えてくれる人たちの存在や有り難さに気づかなかった。
アナタに会わなければ・・・。
私の頭を占めるのは、アナタ・・・
そう、京さんだけ。
こんなに人を愛おしいと思える日がくるとは・・・。
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