エピソード2

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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「じゃ、行ってくる」 「行ってらっしゃい」 玄関先で眠い目を擦りながら、仕事に出る拓真を見送る。 「ちゃんと俺の電話は出ろよ」 「出れる時は」 「なんかあったら、俺か蒼に相談しろ」 「ん・・・」 「聞いてんのか?」 「聞こえてます。早くしないと橘さんにまた怒られるよ!!」 「おう、行ってくる。また連絡すっから」 「はいはい、運転気を付けてね!行ってらっしゃい」 扉が締まり部屋に静寂が訪れる。 玄関からリビングに移動し、ソファーに腰を下ろす。 目覚めてきちゃった・・・。 テーブルに置かれたマグカップを手にし、入れたてのコーヒーを口にした。 ◆◆◆◆◆ 昨夜、蒼さんのお店『BLUEMOON』を出た私達は、真っ直ぐ私のマンションに帰ってきた。 拓真は部屋に戻ると、スーツの上着を脱ぎ捨てソファーに深く腰掛ける。 「拓真、スーツ皺になっちゃうよ!」 私は床に落ちた上着を拾い、ハンガーにかけた。 「あ、わりぃ」 「ズボンは?」 「あぁ」 拓真は立ち上がると、ベルトに手をかけ外し出す。 「ちょっと!?ここで脱がないでよ!」 私は慌てて視線を逸らした。 「あ?今脱げって・・・」 「寝室で部屋着に着替えてきて!」 「んだよ、別に減るもんじゃねぇし」 「そういう問題じゃないの!」 「はいはい」 拓真はだるそうに寝室に向け歩き出した。
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