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「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
玄関先で眠い目を擦りながら、仕事に出る拓真を見送る。
「ちゃんと俺の電話は出ろよ」
「出れる時は」
「なんかあったら、俺か蒼に相談しろ」
「ん・・・」
「聞いてんのか?」
「聞こえてます。早くしないと橘さんにまた怒られるよ!!」
「おう、行ってくる。また連絡すっから」
「はいはい、運転気を付けてね!行ってらっしゃい」
扉が締まり部屋に静寂が訪れる。
玄関からリビングに移動し、ソファーに腰を下ろす。
目覚めてきちゃった・・・。
テーブルに置かれたマグカップを手にし、入れたてのコーヒーを口にした。
◆◆◆◆◆
昨夜、蒼さんのお店『BLUEMOON』を出た私達は、真っ直ぐ私のマンションに帰ってきた。
拓真は部屋に戻ると、スーツの上着を脱ぎ捨てソファーに深く腰掛ける。
「拓真、スーツ皺になっちゃうよ!」
私は床に落ちた上着を拾い、ハンガーにかけた。
「あ、わりぃ」
「ズボンは?」
「あぁ」
拓真は立ち上がると、ベルトに手をかけ外し出す。
「ちょっと!?ここで脱がないでよ!」
私は慌てて視線を逸らした。
「あ?今脱げって・・・」
「寝室で部屋着に着替えてきて!」
「んだよ、別に減るもんじゃねぇし」
「そういう問題じゃないの!」
「はいはい」
拓真はだるそうに寝室に向け歩き出した。
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