エピソード2

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せっかく纏めたのに。 渋々バックとケースから荷物を取り出し、再び整理を始めた。 「はぁー」 「なに溜め息ついてんだよ」 私の深い溜め息は、ソファーにもたれる拓真にまで届いていたらしい。 「だって・・・」 「別に遠くに行くわけじゃねぇんだから、必要だと思ったら取りに来ればいいだろ?」 「あっ!」 そうだ! その手があった!! なぜそれを思いつかなかったんだろう。 「なんだよ!?」 突如として出した私の大きな声に、拓真は驚いているようだ。 「拓真もたまにはいい事言うね!」 「なんだよ、『たまには』って・・・」 「よしっ」 少し落ち込む拓真を放置し、荷物の整理に専念する事にした。 「できた!」 7つ程あった荷物は、拓真の言う通り3つに減らす事ができた。 「おっ!終わったか?」 「うん」 「お疲れさん。コーヒー入れてやるから、ここ座ってろ」 拓真の言葉に甘え、ソファーに腰を下ろす。 なんか、疲れた・・・。 荷物を纏めただけなのに、疲労感に襲われる。 「ほら、飲め」 キッチンから戻ってきた拓真は、私のコーヒーと自分の分のビールを持ってきたようだ。 「ありがとう」 拓真の入れてくれたコーヒーを口にする。 「美味しい」 ひと仕事終えた後のコーヒーは、一段と美味しく感じた。
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