エピソード2

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なんで怒ってるの? 私、何かしたっけ・・・ 少し考えたが、心当たりがない。 「おい、早く用意しろよ」 「え?」 「京さん、待ってんだろうが」 忘れていた訳ではない。 でも、渉の態度が気になってしまっていた。 視線をソファーに座る京さんに向ける。 ちょっ!、京さんも怒ってる!? そこには先程目が合った時の笑顔は無く、冷めた瞳をする京さんがいた。 けれど私の瞳と合った瞬間、すぐにいつもの温かい表情に戻った。 「優、おいで」 私の名を呼ぶ声も優しかった。 ソファーに座る京さんの元へ一歩一歩近づく。 「きゃっ」 近くまで行くと急に腕を引かれ、強引に京さんの隣に座る形となった。 「風呂入ってたんか?」 「は、・・・うん」 思わず『はい』と答えそうになる。 危ない、危ない。 敬語使ったら怒られるんだった。 「悪かったな、勝手に入って」 「ううん」 「どうぞ」 横から渉の声と、テーブルに何かを置く音が聞えた。
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