エピソード2

18/43
前へ
/224ページ
次へ
「着いたぞ」 ・・・うん。 わかってる。 「どうした?降りるぞ」 そうしたいんだけど・・・。 チラッと見えてしまったんだ。 横には京さんと同じような黒い車が並び、何故か目の前には黒いスーツに身にまとった人達が整列している。 この状況は非常に出づらい。 なんで皆並んでるの!? 「大丈夫だ」 そう京さんが言った瞬間、両方ドアが勝手に開かれた。 「ひぃ!」 「何してんだ?」 どうやら、助手席のドアを開けたのは渉のようだ。 「だ、だって」 「「お疲れ様です!!」」 「!?」 突如として響き渡った野太い声。 どうやら、先に京さんが車から降りたようだ。 「優、おいで」 目の前に差し出される京さんの手。 その手に手を伸ばすと、半ば強制的に車から引っ張り出されるような形で車から降りることになった。 「「お疲れ様です!!!」」 再び響き渡る野太い声は、今度は私にあてられたものだろう。 その声に躊躇っていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「優さん、ようこそいらっしゃいました」 「葵兄!」 「久しぶりに優さんが来ると聞いて、皆待っていたんですよ?」 「え?」 整列された軍団に恐る恐る視線をやると、見覚えのある人達が多くいる事に気がついた。 「ましてや、龍神会の若頭まで一緒ですからねぇ。驚かせてすみません」 「ううん。葵兄、皆、ありがとう」 私がお礼を伝えると、強面の人達が笑みを浮かべてくれた。 身なりや顔は怖い人達だけど、ここにいる皆は本当にとてもいい人ばかり。 私を暖かく迎えてくれた。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4437人が本棚に入れています
本棚に追加