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「さぁ、中にどうぞ。親父と姐さんも待ちわびてますよ」
「うん」
前を歩く葵兄と渉の後をついて、京さんと並んで歩きだした。
「優ーっ!!」
家の中から聞こえてくる大きな声。
その声は怒声に近い。
私は思わず玄関先で足を止めてしまった。
久しぶりに聞くその声。
間違いなく怒っている。
その声の主が、足を止めた私の代わりにこちらに向かってくる。
「優っ!!!!」
姿を現したその人は、私の目の前に来ると強く引き寄せた。
「淳ママ・・・」
「あんたって子は!」
「ご、ごめんなさい・・・」
久しぶりの再会に涙が出そうになる
淳ママは渉のお母さん。
私の母の親友だった人。
ダークブラウンのロングヘアに、抜群のスタイル。
相変わらず赤い口紅がとても似合う。
「心配してたんだぞ!この馬鹿娘っ!!」
口の悪さも全く変わっていなかった。
淳ママの勢いに圧倒される。
「淳ママ、ごめんなさい・・・」
「渉が止めなきゃ、私は家に乗り込んでたよ!」
「え?」
「『俺にまかせてくれ』だのなんだの言って頭下げられたから黙って待っていたもの、何一つ連絡もよこさないんだもの!」
「ご、ごめんなさい!」
ってか、渉はそんな事してたの?
チラッと視線を渉がいた方へ向けるが、そこに渉の姿はなかった。
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