エピソード2

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「・・・なにこれ」 通された広い部屋に驚く。 そこには多くのテーブルと座布団。 テーブルには豪勢な料理が並び、大量のお酒が用意されていた。 「ほら、優はここ!」 「えっ?」 淳ママに背中を押され、上座の中央に座らされた。 その隣に京さんが腰を下ろす。 「皆も入りな!」 「「失礼します」」 淳ママの呼びかけと同時に、組の人であろう人達が次々と部屋に入ってくる。 あっという間に、広い部屋は黒い人達でいっぱいになってしまった。 え!?なに!? 「皆座ったね!始めるよ!」 な、なにが始まるの!? 私の不安をよそに、テーブルに置かれたグラスに飲み物が注がれていく。 何故か私のグラスにも黄金色の液体の上に泡がのった物が用意されていた。 「よし、じゃあ賢さん」 「おう」 一瞬にして静まる室内。 皆、グラスを手にとったまま固まっている。 私も皆を真似るように、ビールの注がれたグラスを手にとった。 「皆聞いてくれ」 物音ひとつしない室内に、賢パパの声が響く。 「やっと家出していた娘が戻ってきた」 「い、家出!?」 「ははっ!!」 思わず驚きの声を上げてしまった。 私を知らない人は驚きの表情を、知ってる人は笑い声をあげていた。 いきなりの宴会モードで混乱しているのに、賢パパの言葉に困惑する。
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