エピソード2

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「優の事知らねぇ奴もいるかもしれねぇが、優は俺の大事なダチの娘だ。血の繋がりが無くても、俺と淳は娘のように思ってる。だから皆、大事にしてやってくれ」 「優泣かせた奴がいたら、ただじゃおかないからね!」 「「はい!!」」 「賢パパ、淳ママ・・・」 私は言葉を失った。 こんなにも私の事を思ってくれていたなんて、知らなかった。 勝手に離れ、勝手に独りぼっちだと思っていた自分が恥ずかしくなる。 「優からも何か言ってやれ」 背中に温もりを感じ、隣を見れば優しく私を見つめる京さんがいた。 ひとつ深呼吸をする。 背中に感じる温もりが私を安心させてくれた。 「賢パパ、淳ママ・・・。心配かけてごめんなさい。娘だと言ってくれて、本当に嬉しい。・・・ありがとう!」 私は隣に座る淳ママと、京さんの隣に座る賢パパ、それぞれに頭を下げ謝罪と感謝を口にした。 そして、視線を左右に並ぶ人達に視線をむける。 「皆もありがとうございます!」 私がそう伝えると、様々な言葉や多くの拍手で答えてくれた。 「よし、じゃあ始めるぞ!乾杯!」 「「乾杯!!」」 賢パパの号令を合図に宴会が始まる。 皆、手に持つグラスを口につけ一気に黄金色の液体を喉に流しいれる。 静まり返っていた室内も、次第に賑やかさを増しいった。 「よかったな、優」 「うん・・・」 優しく私の頭を撫でてくれる京さんの温かい手に緊張が解れ、安堵感に包まれる。 自分勝手だった私を心配してくれてた、皆。 血の繋がりが無くても娘だと言ってくれた、賢パパと淳ママ。 ずっと近くで見守ってくれていた、渉。 なんで皆こんなに優しいんだろう。 なんでこんなにも温かいのだろう。 心を蝕んでいた闇が、少しずつ晴れてくような気がした。 「おい、京!」 突如として大きな声を出した淳ママ。 恐る恐る隣を見れば、眉間にシワを寄せていた。 「気安く優に触んなよ」 「あ?」 「ちょっと!淳ママ!京さん!」 淳ママの言葉に反応した京さん。 私は瞬く間に鬼に挟まれれてしまった。 賑やかだった場も自然と静まり返る。 「ってか、何でいんの?」 「優は俺の女だ。一緒にいてなにが悪い」 「はぁぁぁあ!?!?」 「「えぇぇっ!?!?」」 室内に響く驚きの声。 あまりの大きさに耳を塞いでしまった。
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