エピソード2

25/43
前へ
/224ページ
次へ
「淳、俺らは極道だ。世間からは白い目で見られる存在だってのも重々承知してる。だが、同じ道を歩くお前にそう見られる筋合いはねぇ」 ど、どうしよう・・・。 最悪の空気になってしまった部屋。 私のせいだ。 二人を止めなくちゃという気持ちはあるのに、体が動かないばかりか、声ひとつ出す事されも出来ない。 やっぱり私、来なかった方が・・・。 ギュッと握り締めた手の上に京さんの手がそっと置かれた。 「大丈夫だ」 耳元で聞こえる京さんの声。 顔を上げれば、京さんの漆黒の力強い瞳が私を見つめていた。 「俺は男として淳を好きになって一緒になった。家が極道だろうと関係ねぇ。恋愛なんて所詮そんなもんじゃねぇのか?優が京を好きになっちまったんなら仕方ねぇだろ。俺らの世界が危険だっていうなら、俺らが守ってやればいいじゃねぇか。違うか?」 「・・・賢さん」 賢パパの声は次第に冷たさを無くし、優しい声へと変わっていった。 「・・・淳ママ」 皆の視線が私に集中する。 本当ならこの場から逃げ出してしまいたい。 でも、京さんが傍にいてくれるから。 ずっと手を握ってくれるから。 私は勇気を振り絞って声を出した。 「私、京さんと一緒にいたい」 そう、心から思う言葉を口にした。 「優・・・」 私を見つめる淳ママの瞳はとても優しかった。 「淳さん」 隣から低く響く愛おしい声が聞こえる。 「俺は、優を幸せにする自信がある。わりぃが手放す気はねぇよ」 京さんの力強い瞳と声に、胸が高鳴った。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4437人が本棚に入れています
本棚に追加