エピソード2

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それから「仕切り直しだ!」という賢パパの言葉を合図に、再び宴会が始められた。 静寂に包まれていた部屋に賑わいが戻る。 淳ママが腕を奮って用意してくれた食べ物は、どれも美味しかった。 「ほら、優も飲みなっ!」と、お酒が入って上機嫌になった淳ママにビールを勧められたけど、やはり苦手でひと口飲んだ後は代わりに京さんが飲んでくれた。 久々に会う組の人達とも話した。 昨日少しだけ会ったアキちゃんは、私が再び藤堂家に戻って来た事を泣いて喜んでくれた。 みんな優しくて、面白くて、昔と変わらず接してくれる。 それがとても嬉しかった。 再びここに来る勇気をくれた、京さんと渉に心から感謝した。 部屋中に溢れる笑顔と笑い声。 こんなに笑ったのはいつぶりだろう。 そんな中、一人笑っていない人がいた事に私は気づけなかった。 ◆◆◆◆◆ 「お邪魔するでー」 聞き覚えのある声が部屋の入り口から聞こえてきた。 「あ、秀さん!」 そこには、黒いスーツに黒髪のオールバックの秀さんが立っていた。 「おっ!優ちゃん!」 私と目が会った瞬間、笑みを浮かべた秀さん。 「迎えに来たで」 そうだ、京さんお酒飲んでたんだ。 かなりの量を飲んだであろう京さん。 淳ママによって酔い潰れて横になる人達が出る中、見た感じ全然変わってないように見える。 ここに来てからどれくらいの時間が経っているのだろう。 あまりにも楽しくて、時間が経つのを忘れてしまっていた。 「あっれぇー?秀も来たのぉ?」 完全に酔っ払い状態の淳ママ。 「ほらぁ、あんたも飲みなさいよぉ!」 今度は秀さんに絡み出した。
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