エピソード2

29/43
前へ
/224ページ
次へ
「おい京!いい加減にしろや」 どうやら秀さんもこの空気に気がついたようだ。 「優ちゃん困ってるやろ!」 わ、私? 確かに困ってはいたけど、名前出さなくても・・・。 「一緒に住むんやったら仲良くせなあかんやん」 「はっ!?」 「・・・煩せぇ」 そうだ! すっかり忘れてたけど、これから京さんの家に行くんだった! 京さんって一人暮らし? それとも・・・実家? どちらにしても不安な要素は満載だ。 冷や汗が滲み出てくる。 私は一気に動悸と緊張感に襲われた。 「優ちゃんも大変やなぁ」 「え?」 「こんな男に・・・」 「秀」 秀さんが何か言おうとした所で、京さんに止められていた。 「はいはーい、黙りますよー」 おどけたように話す秀さん。 その後は口を開くことなく、静かに運転していた。 静まり返った車。 秀さんがボリュームを上げたようで、重低音が体に響く。 窓の外を見れば光を放つネオン。 どうやら繁華街の近くに来たようだ。 陽が落ち、街の色が変わる。 休日という事もあるの、未だ多くの車や人が行き交う中、私達を乗せた車は進んでいく。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4437人が本棚に入れています
本棚に追加