エピソード2

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「こうして風呂に入る事も、手を繋ぐことも」 私の手に京さんの指が絡まる。 「俺の女にしてぇと思ったのは、優だけだ」 耳元で囁かれる甘い言葉。 唇に感じる熱い熱。 鼓動が激しく脈打ち出す。 「・・・ずっとそばにいて」 私は小さな声で呟いた。 京さんに聞こえたかはわからない。 でも私が言葉を発した瞬間、私を抱き締める力が強くなり、私の口内をなぞる舌が激しくなったから聞こえていたのかもしれない。 クラクラする頭。 力の抜けた身体を京さんに預ける。 幸せなこの時が、永遠に続く事を願いながら。 ◆◆◆◆◆ 「・・・ん」 いつの間にか閉じてしまっていた瞼を薄く開く。 視界に入るのは、眩しい明かりと白い天井。 「大丈夫か?」 視線を少しずらすと、真上から心配そうに覗き込む京さんの顔があった。 ・・・あれ?私寝てた? 確か京さんに無理やりお風呂に入らされて、それから・・・? その後の記憶がない。 「風呂でのぼせたみてぇだ」 私の考えていた事に気が付いた京さんが教えてくれた。 「うそ!?」 ゆっくりと身体を起こす。 「おい、動くと・・・」 その忠告は遅かった。 「き、きゃぁぁー!!」 私の悲痛の叫びが、部屋に響きわたる。 横になった私の体には一枚のタオルが掛けられていただけ。 起き上がったと同時にタオルがずれ、一糸まとわぬ体がお目見えしてしまった。
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