エピソード1

1/146
4418人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ

エピソード1

暗く、広い部屋で1人。 時を刻む音だけが妙に響いている。 窓の外はぼんやりと明るい。 ・・・空は『今日』を連れてきた。 _____また1日が始まる。 ◆◆◆◆◆ カーテンの隙間から朝日が入り出したころ、突然携帯が鳴り出した。 目覚まし用に登録したお気に入りの曲が流れている。 「もう朝か・・・」 手を伸ばし携帯のアラームを止める。 「はぁ・・・」 今日もろくに眠れず朝を迎える。 夜に眠れない事にも慣れてしまった。 『悪夢』を見るくらいなら起きていた方がいい・・・。 ・・・そろそろ用意しなくちゃ。 寝室から洗面台へ移動する。 顔を洗うと眠気が少し取れた気がした。 鏡を見ると、目の下にクマが少し出来ている。 これぐらいならまだ隠せるかな・・・。 キッチンでコーヒーを用意してからリビングのテーブルへ行き、鏡を用意して化粧ポーチから化粧品を取り出す。 慣れた手つきで化粧を済ませ、腰まであるキャラメル色した髪の毛をゆるく巻いていく。 ふと壁にかけられた時計を見ると7時30分を過ぎようとしていた。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!