番外編

11/34
前へ
/224ページ
次へ
ここで、「俺の女です」なんて渉が答えたら、京はどんな表情を浮かべるのだろう。 見てみたい気もするが、想像しただけで寒気がする。 しかし渉の口から返ってきた返事は意外な言葉だった。 「俺の、幼馴染みです」 ・・・は? 「幼馴染み!?」 お!幼馴染みって、俺の心配は何やねん・・・。 「お前にこんな可愛い幼馴染みおったんか!初めて聞いたわ!!」 自然と声がでかくなる。 「秀さんに教える必要ないでしょ」 「まぁ、そーやな!」 不安が無くなった俺は安堵の笑を零した。 「・・・名前は?」 京の声が低く静かに響いた。 「なんや?京が女に興味持つん珍しいな」 「お前は煩い。・・・名前は?」 京は優ちゃんの前に立つと、右手を伸ばし彼女の頬に触れた。 「お前の、名前」 「ゆう・・・、大河内 優」 優ちゃんがやっと答える。 その声は小さく少し掠れていた。 ん?大河内? 聞き覚えのある苗字。 ちょっと調べてみるか・・・。 遅かれ早かれ京から調べるよう指示がくるだろう。 俺はポケットから携帯を取り出し、組の奴にメールを送った。 送信し終えると携帯をポケットに戻し、視線を京達に向ける。 二人の世界に入る京と優ちゃん。 その横で視線を逸らし苦い表情をする渉が目に付いた。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4436人が本棚に入れています
本棚に追加