番外編

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「てめぇ・・・」 突き刺さる視線と、低い声。 どうやら俺に対して怒っているらしい。 「そんな怒んなや、京が珍しい事するからやろ?」 「からかうんじゃねぇ!」 「からかってなんかねぇよ。大丈夫だ、俺に任せとけ!!」 「あ?」 「優ちゃんに惚れたんやろ?」 「・・・」 俺の言葉に無言になる京。 こんなに分かり易い男だったとは。 今日初めて知った。 「・・・あ!」 ふと視線をコンビニへ向けた時、ある光景が目に入った。 雑誌の棚が邪魔してよく見えないが、優ちゃんが数人の男に囲まれている。 「おい、京!」 俺は急いで京に知らせた。 物凄い勢いで車から降りる京。 その後をついて俺も店の中へと向かった。 店の中へと入り優ちゃんを探す。 ・・・まぁ、すぐに見つかったのだが、運悪くガラの悪い男が嫌がる優ちゃんの腕を掴んでいる所だった。 運がねぇのは、優ちゃんでもなく、俺らでもなく、優ちゃんの腕を無理やり掴む茶髪の男。 隣に立つ京から殺気を感じる。 「・・・何してんだ?」 店に響く京の怒りを含む低い声。 今にもその男に殴りかかりそうなのを抑えているのが分かる。 「あ・・・」 京の声にこちらに振り向いた男達。 一瞬にして顔が青ざめるのが見て取れた。
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