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「き、京さん!?秀さん・・・お、お疲れ様です!」
店の中だと言うのに、大声を上げながら頭を下げる男ども。
どうやら俺らの事は知っているらしい。
それなら話は早い。
「何してんだ?」
京が、もう一度問いかける。
「あ、・・・いや・・・」
すっかり勢いを無くした男どもの顔は益々青くなり、京が睨みをきかせる茶髪の男は今にも泣きそうな顔をしていた。
「その子、俺らのツレなんやけどなぁ」
「え?」
俺の言葉に驚愕の表情を浮かべる。
「手、離せよ」
「あっ! す、すみませんっ!」
一際冷たくドスの効いた京の声に、男は慌てて優ちゃんの腕を離した。
「優、こっちに来い」
今までの声が嘘のかのように、優しい声で優ちゃんを呼ぶ京。
安堵の表情を浮かべながら京に走りよる優ちゃん。
なんやこれ。
安っぽいドラマみたいやな・・・
「・・・秀」
その光景をみて、こんな事を思っていると、再び怒りを含む低い声の京が俺を呼んだ。
「お前等、早よ外でろや!」
俺の声に不安げな表情を浮かべ素直に歩き出す。
男どもを先に歩かせ、後ろに付きながら店の外に出た。
ポケットから煙草を取り出し火をつける。
可哀想に。
いつもこんな風に女を捕まえては楽しくやっていただろうに。
目を付けた女が悪かった。
「すっ、すみませんでしたっ!!」
人気のない駐車場に声が響く。
俺の目の前で男達は深く頭を下げていた。
「あ?謝る相手が違うやろーが」
「し、知らなかったんです・・・」
「あ?」
「ひ、秀さんのツレだってこと・・・」
そう言う男の声は震えていた。
「俺らのツレじゃねかったらいいんか?」
「い、いえ・・・それは・・・」
「お前ぇら、嫌がる女無理やり捕まえて何が楽しいんだ?」
俺の問いかけに言葉を無くす男達。
恐怖からか、震えている。
「こんな事はもうやめろ。そして、今後一切俺らの前に姿見せんじゃねぇ」
「は、はいっ!」
「わかったらさっさと消えろ!」
「っ、はい!すみませんでした!!!」
再び深く頭を下げた後、男達は脱兎の如く俺の目の前から逃げて行った。
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