番外編

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車に乗り込み直ぐに聞こえてきた着信音。 どうやら優ちゃんの携帯が鳴っているようだ。 優ちゃんは京の方をちらっと確認した後、携帯を耳に当てた。 「もしも・・・!?」 再び耳から離される携帯。 どうやら相手は渉のようだ。 俺にまで声が聞こえる。 遅かったかな・・・。 携帯を耳元に戻し話す優ちゃん。 さっきよりは声が小さくなったのか聞こえてこない。 優ちゃんの電話での返答を聞く限り、かなり心配をしてるらしい。 チラリと京を見れば、難しい顔をしながら優ちゃんの首筋をじっと見ていた。 「うん。運転席に座ってるけど・・・」 ん?運転席に座ってるのは俺。 優ちゃんの声に、京から視線を向けると目が合った。 「え?俺の事?」 渉は俺の事を聞いているらしい。 さっきの電話に出なかった事でも言っているのだろう。 その後直ぐに電話を終えた優ちゃん。 どうやら渉が切ったようだ。 優ちゃんは、不服そうな表情を浮かべていた。 「これ、誰に付けられた」 京の怒りを含んだ声が静まり返った車内に響く。 ・・・今度はなんや? 京の視線は先程から優ちゃんの首筋を見つめたまま。 「なに?なに?」 運転席から身を乗り出し、優ちゃんの首筋を覗き込む。 俺は驚く物を目にした。 「あー、綺麗に付いてんねぇ」 「チッ」 「え?」 なんで京が不機嫌になっているのか、何が首筋にあるのか分からないというような表情の優ちゃん。 首筋に残る小さな跡、それは・・・ 「まぁ、所謂キスマークや」 「え?」 俺の教えに、困惑から驚きの表情へと変えた。
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