番外編

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「誰か首筋に吸い付いた、おかしなヤツおらんかったか?」 「・・・あっ」 優ちゃんは、少し何かを考えた後、何かを思い出したようだ。 「・・・誰だ?」 京の鋭い視線を受け、言葉を詰まらせる優ちゃん。 「優、誰にやられた? さっきの奴等か?」 京なりに怒りを抑えて問いかけているように聞こえるが、優ちゃんは怯えているようだった。 京の言うように、さっきの奴等がしたと言うなら今からでも捜し出してシメてやる。 ・・・けれど、あいつらがこんな事するか? 優ちゃんは次の瞬間、少し震えた小さい声で驚く言葉を呟いた。 「いえ・・・あ、あの・・・渉が・・・」 「はぁ!?渉?」 優ちゃんの数十倍もでかい俺の驚きの声。 優ちゃんと京、二人の不快な顔が俺に向けられた。 「・・・いつやられた」 京の視線が俺から優ちゃんに戻る。 その声は未だ低く優ちゃんを圧倒させる。 「・・・えっと・・・。倉庫に行く前にシャワーを・・・」 素直に、静かに話し出す優ちゃん。 「はぁ!?シャワー!?」 おいおい、どういう事や? 「渉と優ちゃんって、ただの幼馴染みちゃうの?」 京も気になっているだろう事を優ちゃんに聞いた。 「ええ、幼馴染みですけど・・・」 しれっと答える優ちゃん。 優ちゃんは、男の免疫がないのだろうか。 そもそも、ただの幼馴染みはキスマークなんか付ける事なんかしない。 ただの幼馴染みだと思っているのは優ちゃんだけで、きっと渉は・・・。 「・・・なんや、面白くなりそーやなぁ」 おれはそう呟きながら、京に視線を向けた。 「煩せぇ」 きっと京も気付いているのだろう。 眉間に刻まれた深いシワ、鋭い冷めた瞳。 どうにも出来ない怒りを含んだ目で、俺を睨みつける。 女の事でこんな表情を作るなんて初めて見た。
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