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「明日、何時頃出るんだ?」
拓真が手に持つビールを開けながら尋ねてきた。
「わかんない、・・・あっ!!!」
「んっ!?ゴホッ」
私の大きな声に驚く拓真は、ビールを口に含んでいたせいか、むせてしまっていた。
「っ、いってぇー」
痛がりもがく拓真。
でも、私はそれどころではない。
「忘れてた!」
「なんだよ!」
未だ痛むのか、鼻を押さえながらも聞いてくる。
「明日のお昼、渉の家に行くって言ってたの忘れてた・・・」
「あ?なんでアイツん家に行くんだ?」
「いや、藤堂のおじさん達に呼ばれて」
「あんの、狸オヤジが!」
そう言う拓真の眉間にはシワが寄せられていた。
「狸オヤジって・・・」
「優、行きたくないなら行かなくていいんだぞ?」
痛みが治まったのか、鼻から手を離し未だ眉間にシワを寄せたままの表情でこちらを見ている。
「そんな事ないよ。久しぶりに私も皆に会いたいし!ってか、そんな事より・・・」
そう、私は大事なことを忘れていた。
「なんだ?」
「明日、渉と京さん、二人とも迎えに来ちゃう!」
まさか京さんも渉の家に一緒に行くとは思ってもいなかった私は、昼間渉に迎えを頼んでいたのだ。
「渉に京さんも一緒に行くこと言ってないし・・・」
「んだよ、そんな事か」
拓真は馬鹿馬鹿しいと言うように、再びビールの缶に口をつけた。
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