パズドラワールド

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竜騎士の‘ジャンプ’はスサノオの真上で放たれた。刃先にに近づくほどハチの針のように鋭くなるその剣は、ドがつくほどストレートにスサノオへと向いている。刃先がスサノオの体を貫くのは誰の目にも火を見るよりも明らかだった。 この大会は、十数年に一度運悪く死者が出る。‘ジャンプ’が決まれば、いかにスサノオでも絶命は必死だろう。 しかし、今の竜騎士にはそんな考えなどなかった。呼吸が乱れる。瞳に写る焦点が鈍る。自分をここまで追い詰めた敵を、倒す。決勝までぬるかったこれまでの試合の中で、ようやく本気で戦える相手が現れた。負けたくない。負けるわけにはいかない。竜騎士の意識の根底にあるのは、最下層に沈み込んでも溶解することないこの思考だけだ。 スサノオが身構える。あの様子からすると、体のどこかをひどくダメージを受けたに違いない。避けきれないならば、その剣で防ごうというのか。笑止千万! 「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」 竜騎士の雄叫びがコロシアム中に広がる。しかし、その時スサノオも声をあげていた。竜騎士と同じく、コロシアム中に轟かせる気合を、言葉にならない声に変えて。 スサノオは右手で柄を、左手で刀身を握った。刀身の平たい部分を竜騎士へと向ける。 竜騎士の剣の先端とスサノオの剣の刀身とが衝突した時、激しい衝撃音と共に、二人は砂埃へと見舞われた。
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