パズドラワールド

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金属と金属がぶつかる音が宙に広がる。竜騎士は、思わず閉じてしまった瞼を開けた。自分の剣が空に舞い、遠くで地面に刺さるのが目に焼き付いた。 「……ふっ…………」 意図的に漏らしたのではなく、本当に自然と笑いが込み上げてくる。今すぐにでも笑い出したい気分だった。それは死への焦燥感が目の前できていたからだろうか。だとしたら、私は本当にこの男の強さを理解していなかったということになる。命をとる? そんな馬鹿なことをするはずないのに。チャラいが根はしっかりとしている。戦闘スタイルを見ていればそんなこと分かるだろうに。ああ、駄目だ。本当に笑ってしまいそうだ。愚かな自分と清々しいほどの敗北に。 「私の、完敗だ」 審判が「勝負あり!」と叫んだのが聞こえた。観客達の歓声がそこかしこに飛び交う中、ふと目の前に差し出された手に目が移る。その手の先にはニヤリと笑っているスサノオの表情がある。 「オメーも強かったぜ、竜騎士」 差し出された手を握り、もう片方の手でなんとか体制を整えながら体全体を起こした。ゆらりと体がぶれたが、スサノオが肩を貸してくれたおかげでなんとか体の状態を維持できる。 「私もあのトロフィーが欲しかったよ。部屋に飾りたかった」
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