パズドラワールド

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会長の話は思いの外長く、一秒経つごとになんだかわき腹のいたみがジワジワと増すように思われた。 (早くおわんねーかなぁ……) まるでトイレを我慢するような状態でスサノオは時が立つのを待った。 「え~、というわけで。第32回ソード・バトルコロシアム大会を制した若き優勝者に皆さん盛大なる拍手を」 「いいぞースサノオー」「優勝おめでとうー!」ヒューヒューと歓声が飛び交う中で、会長はにっこりと微笑みながら、トロフィーを差し出した。 「優勝おめでとう、スサノオ君」 ありがとうございます。そう独り言のように呟き、トロフィーに触れた瞬間だった。スサノオと会長の真下が青白く輝き、見たこともない複雑な魔法陣が浮かび上がった。地面にあるのは砂ではなく、闇。魔法陣の線に照らされた部分以外はなんとも形容し難いものだった。ぬかるんだ泥のように足はズブズブと沈んでいき、まるで異空間が徐々に体が侵食していくかのようだった。 「な、なんだ!? これは一体何事が起こって……っ!!」 会長の顔が恐怖の色に染まる。 「ちっ!!」 スサノオは思い切り力をこめて会長を押す。殴りあげるかのごとく荒々しく弾け飛ばしたおかげか、会長はなんとか闇から抜け出せた。問題はスサノオ自身だった。 急いでその場から出ようとする。闇はもうすでに腰の辺りまで侵食してきている。なんとか魔法陣の外側にある地面に手をついて、そこから力をこめて這い上がれれば………… 「っつー……。クソ! わき腹が……いってぇ……」 地面に手をついたまで良かったものの、そこから這い上がろうと力をを込めると、焼かれるような痛みが全身をつらぬく。周りの観客が慌てふためき、「早く救護班を!!」と叫ぶのだけが聞こえた。
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