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(やべーな……これはガチで)
まだ賞金貰ってねえよ、なんて考えが頭に浮かぶ。魔法陣の下に体はもう肩沈んでいるというのに、そんな考えがよぎる自分に苦笑する。今はそれどころじゃないだろと。
どういうわけか、左手で触れたトロフィーだけは指から離れない。接着剤で指とくっつけてしまったかのようだ。加えて、この魔法陣が出現してからは重みが増している。いや、重みが増しているという表現より、トロフィーが重力みたいな目に見えない力で闇の先からかなり強く引っ張られているという感じだ。左手はとうに闇に沈んでいる。
死ぬのか……俺。
竜騎士と闘っている時はかなりの危機感は感じたものの、正直死ぬ気はしなかった。逆に死にそうな今の状況には危機感をあまり感じないというのは、これいかに。
スサノオは右手を上げた。周りに駆け寄ってきてくれた人たちが何人かがいたが、その手を握ろうとするものはいなかった。そりゃそうだろうな。こんな闇に喰われたくねえもんな。
スサノオは目を閉じた。
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