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「どこだよここ……」
座った状態で辺りを一通り見渡し、上を見上げ、果てしない青々とした見事な晴れ渡る空を確認し、その後自分の尻もとを見た。
銀色のペンキのような巻かれていた。
「いいっ!? なんだよこれ……」
触って見る。ペンキのようにベチャベチャしていない。銀の絵の具を溶かした水のような感じだ。そんなようなもので描かれた魔法陣の中心地に、自分がいる。
(ダメだ……状況が読めん)
先程まで竜騎士と死闘をし、助けられそうになり、闇の中に放りこまれ、現状に至るのだ。時間でいえばまだ一時間経っていないはずだ。自分でも混乱するのも無理はないか、とスサノオは思った。
(……とりあえず移動するか)
ここにいても時間が過ぎるだけだ。痛むわき腹を必死に抑え、苦痛の声を漏らしながらゆっくりと立ち上がる。立ち上がって改めて真下を見る。
(この魔法陣……)
魔法陣なんてオカルトなもの今までまともに見たことがなかったが、この魔法陣にはスサノオは見覚えがあった。会長からトロフィーを受け取る瞬間、浮き出た魔法陣がこんな形じゃなかったか?
(うへえ、SAN値減りそう)
そんな全然関係ないことを思っていた時、だ。
ガサガサと隣の茂みから音がするのが聞こえた。
スサノオは思わずその方向に顔を向けた。
「嘘…………」
可愛らしい声がそのように発した。
見知らぬ女の子がそこには茂みを超えようとしたまま固まっており、目を見開いてこちらを凝視していた。
口はポカーんと空いている。
(誰だ……コイ……)
ツ。その子を見た瞬間、訳のわからない何かが襲ってくるんじゃないかと思った不安が消え去り、妙に安心し、力が抜け……。
バターン!!
素晴らしいほどの倒れっぷり。
きゃーっと叫ぶのが耳に響く。全身の痛みが体の中で広がっていく。だが体が動かない。瞼も閉じられて行く。闇が迎えにくる。
スサノオはそのまま意識を失った。
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