パズドラワールド

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「どうしたんだね、君!」 竜騎士が掴みかかろうとした瞬間、審判の手が即座にその手首を握り締めた。スサノオをそれを見てにやにやしている。 「ぐぬう……、いいだろう! こちらが誠意を持って試合に挑んだのに対し、貴様がそのようなふざけた態度で私に勝負を挑んだのだ。この試合、楽に負けれるとは思うな!」 竜騎士は身を翻し、最初のゆっくりとした歩調とはまるで逆な素早い歩行で自分の最初にいた立ち位置へと戻っていった。 スサノオは審判に、「わけがわからないよ」といった表情をした後で行きと同様ゆっくりとした歩調で立ち位置へと戻る。 (ちょろいな、アイツ) スサノオは空を仰ぎ見た。晴れ渡る空に浮かぶ、マシュマロみたいな雲。もし今日という日が年に一回開催されるソード・バトルコロシアム大会の決勝戦なんかでなければ、家でハンモックに揺られながらゆったりとした午後を過ごしていただろう。なまじ強いがために、というよりも自分のいる区域による出場者が自分しかいないために周りの期待が大きいのが大半を占めているが、この大会で決勝なんかに進んでしまっている。 (あの雲うまそうだなあ……) ぼうっとそんなことを考える。すると視界の隅っこに審判が手を上げるのが見えた。
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