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「君、何鍋が好き?」
「へ……?」
「本当は水炊きだったんだが、せっかくの客人だ。水炊きじゃいくらなんでもだろう? トマト鍋でもカレー鍋でもラーメン煮込みでもなんでもいいよ」
「あ、いや。気を遣わなくていいっすよ」
「遠慮するな。よし、鶏肉仕込みの塩麹鍋にしよう。昔一時期流行ってね。私はそれ以来愛して止まないんだ。そろそろ暖かくなってきたから、鍋も最後だし。よし、そうしよう」
話が勝手に決まってしまう。スサノオはタイミングが飲めず、ただただヨミの父親のペースに流されるがままだった。そこから鶏肉を含めた買い出しに付き合い、いつの間にかヨミの母親が作る塩麹の鍋を味わっていた。ヨミの両親は明るく、楽しい人達で、ヨミの小さい時の話なんかを話してくれた。スサノオはそこに優しさを感じた。
鍋を食べ終わり、食後にフルーツゼリーを差し出され、スサノオはそれを一口ずつ食べていた。ヨミの両親達もそれを食べている。
そして突然だった。ヨミの父親が話を切り出してきた。
「スサノオ君は、どこから来たんだい?」
きたか……。さてどう話そうか、とスサノオは首をかしげた瞬間だ。父親がふと笑った。
「いや……違うな。こういう質問は悪かった。スサノオ君は、‘魔法石’がどんな形か分かるかい?」
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