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‘魔法石’……。度々話題に出てきた代物。使えばどんな大怪我も大病も一瞬で治してしまうというのは分かったが、‘魔法石’が使用されたのは気を失っている時だし、ヨミが5個使って何かやらかした時も使用後だったから、実物はどんな物か分からなかった。
「いえ……」
その返答に両親はハッと顔を見合わせる。それはまるでテレビを知らない人間を見るかのようだった。
「そうか……」
父親は席を立ち、居間から出て行く。暫くした後で両手に何かを手に持って戻ってきた。右手には綺麗な、虹色の輝きを持つガラス石みたいなものが握られていた。
「これが、‘魔法石’だ。本当に見覚えがないんだね?」
「ええ……これが、俺の怪我を?」
そうだ、と父親は頷いた後、スサノオの顔をじっと見つめた。視線に耐えられなくなり、思わず視線を逸らす。
父親はコトリと魔法石を机の上に置き、左手にあるものも机に置いた。そちらの方は見覚えがあった。
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