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コロシアム中が静かになる。ふとそのまま目を観客席に移すと、自分の両親と町長、町の代表者達たちが「スサノオ頑張れ!」とでかでかと書かれた旗を持っているのが見えた。勝てば賞金も貰えるし、うちの地区の知名度貢献にもつながる。そういった裏事情で町の……というよりも村という表現のほうが近いほどド田舎の連中は自分を応援をしてくれるのだろう。
「両者、構え!」
ジャリ、っと竜騎士が地面の上で足の構えを整える音が聞こえた。
父の、母の目が見えた。真剣にこちらを見ている。その目には「負けんじゃねえぞ!」とスサノオ自身よりも勝負に熱くなっている両親のメッセージがこめられていた。
「…………始めぇ!!」
審判の声が空中に轟くや否や、先手必勝と言わんばかりに地を蹴る音がした。……速い。この様子ならあと一秒もしない内にこちらを切りかかってくるだろう。
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