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(何故だ……)
刀が必要……? …………駄目だ。そこまではわからない。
ともかく、自分もヨミを探そう。道場を出て、玄関まで足早で向かい、自分の靴を履いて外へと出た。
月明かりに照らされて、先ほどまで気づかなかった自分靴の泥が落ちていることに気づく。
(ほんと……優しい人たちだぜ)
ホッと胸が暖かくなるのを感じ、スサノオは磨かれた靴で歩き出す。全くここ近所の地図が分からないが、夜だしそんなに遠くには行かないだろうと考え、分からないなりに彼女を探すことにした。
しかし、事態はそう簡単には改善しなかった。ヨミの家の周りを探し、庭を探し、ヨミの家の周りからちょっと離れた場所も探したが人っ子一人見つからない。ヨミの家がもともと山の麓に在るのも関係しているせいか、周りが木だらけで隠れられたら見つけられそうにない。加えて夜だということもある。
「駄目だ……あの子が見つからない……」
父親と途中で合流し、一緒に探したが見つからなかった。ヨミの家に一旦戻ってみようという話になり、もしかしたら帰ってきているかもしれないと一縷の希望を抱いたが、そんなことはなかった。
「全く……仕様のない子だ。一体こんな時間にどこへ……」
「友達の所に行っちゃったんじゃないか?」
「いえ……ここ近所の友達の家に向かいましたけど、来ていないといわれましたわ。もっと遠くに行ってしまったのかも……」
「こんな時間に遠くへ行って、魔物でも襲われしたら……」
父親は自分で言って、サッと顔を青くした。
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