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(魔物……?)
「大丈夫よ、あなた。ここはティラノス様のご加護にあるわ。きっと、大丈夫よ……」
そう言う母親の方も、冷静さを装っているが内心娘のことが心配で仕方が無いのだろう。自分にそう言い聞かしているように思える。
(それにしても、だ)
今出てきた、‘ティラノス様’とは一体誰だろう。ここ近辺ではそういった宗教信仰が在るのだろうか。魔物というキーワードも気になる。一体何を指すのか。
まさか言葉通りの意味だろうか。悪魔、というものが居たとされているし。
(うへえ……SAN値減りそう)
スサノオは頭を降り、考えを切り替えた。今はヨミだ。ヨミの居場所を突き止めなければならない。
(待てよ……)
スサノオはおでこに手を当て、娘の行きそうな場所を必死で考える父親に声をかけた。
「なあ、俺が倒れていた場所ってどこなんだ」
「え?」
「俺の倒れていた場所だよ。そこにもしかして居たりしないのか」
父親はうーんと声を鳴らした。確かにそこは探していなかった、といった顔つきだ。
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