パズドラワールド

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 竜騎士の動きよりワンテンポ遅れた後で観客の声がワッと沸いた。全員ががワーワーギャーギャー言っているので、各々が何言っているのかが全然聞き取れない。そんな中、スサノオは両親が何を言っているのかだけに集中した。  自分がこの大会に出たいと言った時反対した父と母。親からしたら大事な一人息子が大怪我する可能性のあるこの大会に出すのはさすがに堪えただろう。それでも最後には「勝ってこい!」「怪我には十分に気をつけて」といってこの大会の参加費を出してくれた両親。今なんて言っているのか。戦え? 逃げろ? 構えろ? 「スサノオ、前、まえーーーーーーーーーーーーー!!」 前? ああ。確かに確かに。危ないもんな。 くるりと首を前向けると、そこにはすでに竜騎士が槍のような剣を振り上げているところだった。 (速いなやっぱり) そんな中、頭はクールに竜騎士の体を眺めていた。背はスサノオより頭一つ大きく、筋肉を見事と言うに尽きるほど鍛えられている。重い甲冑の隙間から見えるその目は先ほどと同じ怒りが見えるのかと思いきや、勝負する前の冷静沈着なものに戻っている。伊達に決勝まできたわけではないということか。
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