吹奏楽部の為の綺想曲

一楽章 新しい風

北海道立静川高等学校。

流氷が来る海に面する静川市にある唯一の高校だ。

季節は秋。普通なら転校生なんか来ない時期だが、この高校の前には、一人の真新しい制服に身を包んだ少女が立っていた。

四階建ての校舎を見上げ、少女は下で緩く結んだツインテールを風に揺らしながらそこへ入って行った。